第11章 嘘つき 家康
バクバクと心臓が音を発し、深呼吸をしてもそれは収まろうとはしなかった。
働かない頭で変なニュース番組を見て気を紛らわせるが、なかなか返事の来ない携帯に少し焦りを覚える。
まさか先程の返信が悪かったのではないか、気を悪くしたのではないかと何度も何度もその返信内容を確認する。が、特に問題は見られなくてまたため息をつく。
「わっ、お、おぉ…」
Date 08/19 09:30
From 家康
Subject
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すまない!遅れた!
ワシは大丈夫だ
そうだな、1時過ぎだな
というかワシの家、わからんだろ
う?
駅まで迎えに行こう。
駅に1時でいいか?
「迎え?!えっい、いやわかんないけど、ええぇ?!」
一人で舞い上がって携帯を胸に押し当て悶絶する。
急に緊張し始めたはOK!大丈夫!と送って直ぐに洋服選びをしだす。
それに満足すれば今度は化粧だ。普段あまりしたことがない化粧も今日はしてみようと、母の化粧台を軽くしてみたりする。
「うすくね、うすく…」
薄化粧ではあったが、目がすこしパッチリみえるように施す。
午後12時にはもう完璧に準備は整っていた。何故か化粧が完璧な状態で料理を食べていたため、あまり食べられなかった。崩れたら戻すのが面倒だったのだ。
時計を確認して、最寄り駅に15分前につう予定だった。ここから最寄り駅までは10分ちょっとだ。もうすこしのんびりできるか、と姿見で自分を観察し、なんだか変な気持ちになってから時計とのにらめっこを始める。