第10章 お腹が痛い 慶次
「…頼られたいんだ、俺じゃ不安か?」
「そういう意味じゃないよ」
「俺はちゃんに頼られたい」
「…は?」
「意味、わかる?」
は布団から顔を出して慶次の様子を伺ってみた。
慶次は今までに見たことがないような赤面っぷりで、少し顔をそらしていた。
その様子を見て、慶次の言いたい意味が分かったような気がした。
「…わかんない」
だがには確信が欲しかった。変にこっちが意識してしまっているのだとしたらそれはそれで申し訳ないと。
「人の色恋沙汰の相談は得意なんだけどなぁ、俺の事となるとやっぱ緊張しちゃうや」
「そう、なんだ」
慶次がそう恥ずかしそうに話す様子を見て確信を得た。
あぁ、慶次は私が好きなんだ、と。
まるで他人事のように思えて、もう一度布団をかぶってしまう。
「ちょっ、わかんなかった?!」
「わかったけど…」
「…俺はが好きだ」
行き成り呼び捨てにされて布団から飛び起きる。いつの間にか腹痛はひいていた。
「な、何言って」
「付き合ってほしいんだ、駄目かい?」
正直慶次が好きかどうかと言えば好きだった。
だがこれが恋愛感情なのかってのがよく分かっていないのが本心。なのに曖昧に返事を返すのもどうかと思うし、ここで答えず後日またっていうのも気まずい。
は慶次からの真剣なまなざしを受けてどうすればいいのかわからなかった。