第10章 お腹が痛い 慶次
「アンタら授業受けてこいって、」
「慶次も来なよーアタシらだけじゃここから動けない~」
「馬鹿なこと言ってんなってば」
「ほら、前田君もそう言ってることだし、授業に参加してきなさいよ」
先生もやっと口を添えてくれてどうにかキンキン声の女子軍団が出て行ってくれた。
「…ごめんなさいねさん」
「いいんです、気にしてないので」
は深く布団をかぶったまんま涙をこらえていた。
今の自分は酷い顔をしている、誰にも見せたくないということから隠しているのだ。
「ちゃん、ごめんなうるさくて」
「…慶次君も、授業行きなよ」
「え?あー…いや、俺は付き添いで」
「そういうのいいからさっ、私は平気、戻っててよ、ごめん」
平常心をたもちながら、声を震わせないように必死にそう言った。
「サボってるわけじゃねぇんだ」
「なら行きなって」
はこの酷い顔を誰にも見せたくないのだ。
万万が一慶次が布団をめくってしまったら、という事を考えると恐ろしくてさっさと何処かに行ってほしかったのだ。
「…いや、な、俺。話があってきてたんだ」
慶次は先生達と何か小声で話、そのあとドアが閉まる音が聞こえた。
慶次が出て行ったのかと気を緩めると、寝ているベッドの脇で物音がし、ベッドが何者かからの圧力により、ギシ、と音がなる。
誰かがベッド脇にいるらしい。