第10章 お腹が痛い 慶次
「し、失礼します…」
保健室のドアをがちゃりと開ければそこには保健室の女の先生と談笑している生徒が何人かいた。そのほとんどは髪の毛を茶髪にしたり、制服をかなり着崩している女子がいる。
「すみません、御取込み中」
「そんなんじゃないからぁ、ほら、ここに座って?」
奥のベッドの方へ案内してくれて、二人いるうちの一人の保健室担当の先生に話をする。
「保健室は使ったことある?」
「…いえ」
あまり談笑している人たちには聞かれたくなく、つい小声でぼそっと言ってしまう。
具合が悪いわけじゃなけりゃ出て行けばいいのに、とついムッとしてしまう。
「顔色が悪いわね…どうしたの?」
「お腹痛くて」
「もうすぐかしら」
「…予定通りいけば明日くらいなんです」
こんな話は他人にはあまり話したくないし、しかも同じ生徒であり面識もない人にきかれるのはもっと嫌で、聞き取るのも困難なほどの声量だ。
先生はベッドを一つ貸してくれた。ペットボトルにお湯をいれてくれて、それをタオルにくるんで渡してくれる。
「冷やすのは駄目よ、きっと冷房の部屋に長時間いたからね」
「…はい」
「一時間のんびりしていきなさいね」
「はい」
保健室は少し薬品の匂いがして、少しだったがそのおかげで腹痛が止まったような気がした。
寝ていてもいいと言われたので、少しだけ目を休めるつもりで閉じた。