• テキストサイズ

BSR短編集

第7章 いないいない 佐助 ★



毎朝毎朝、任務に行ったあなたが帰って来るのを心配しているの。
怪我でもしているのではないのか、
敵に見つかって人質として捉えられているのではないか、
もしかしたら、死んでしまったのではないかと。
それでもあなたは平気な顔をして帰ってくる。
返り血一つも見せないで。

「おかえりなさい、佐助」

「…忍び一人にそういうのって言うもん?」

いつの日かおかえりも言わせてくれなくなった。
どうして?
私とあなた、何が違うって言うのよ、
身分?いや、そんなもんじゃない
身分が違うだけなら話すのにだって嫌な顔しないでしょう

「佐助…っ」

名前を呼んでも来てくれない

「…どうしろっていうの…?」

どうすれば構ってくれるかもわからずに、私は私を傷つける。
短刀で腕を切りつけてみたり、
思い切り壁に頭をぶつけてみたり、
己の手で首を絞めてみたり。
そうしても、あなたは来てくれない。

「…嫌、なんで、」

なんで私が姫なんかに生まれてしまったの
そんなこと今更うじうじ言ったって解決なんてできないのだけど。
そうだとしても私は佐助の傍にいたかった。
佐助と一緒にいたかったのだ。


それから何日かした後、佐助は朝に帰らなかった。





/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp