第6章 戦う人 幸村
「…真田様」
「幸村と、呼んでくれ」
「幸村、様」
満足げに微笑んだ幸村はもう一度の頭を撫でた。
「私の為に死ぬというのならば、私の為に生きては、くれませんか」
「…それは、できぬな」
分かり切っていた答えだった。
この戦、生き延びれると考えること自体が間違った考えだったのだ。どんなに強い武将でさえも傷つき、命を落とし、かえらぬ人となる、その覚悟がなければこの大戦には参加などできなかった。
「ならっ共に、死なせ」
「黙れ!!」
幸村はの頬を叩いた。その衝撃で横へ倒れ、刀を手放した。
「…これより先に、抜け穴がある」
「真田様っ?!」
「供を連れて行くがよい」
「や、やめてください!」
「案ずるな、すぐに追いつく」
「幸村、様!」
悲しげな微笑みを浮かべ、幸村は言う。
「たどり着く先は奥州、政宗殿の地だ」
は真田の兵に強引に引き摺られ、抜け穴の方へと連れていかれる。
幸村に手を伸ばしても、空を掴むばかりだった。
「幸村様ぁッ!いや、嫌ですっ私も、共にッ!!」
「政宗殿はお優しい、心配するでない。」
「離して!離してくださいよォッ!!!」
じたばたしても、二人係で引き摺られては流石にかなう訳がない。
「…達者でな、!」
その言葉を最後に、幸村の優しい笑顔を見ることはできなくなった。