第4章 破廉恥武将 幸村
「ーっ」
翌日から主様…いえ、幸村様は呼び捨てにしてくださいました。
「お呼びでしょうか?」
「うむ!の匂いが恋しくてな!」
「……あっ、そ、そうでございましたか!」
私はハッキリ言って幸村様がここまで積極的だとは思いませんでした。
匂いが恋しい…?以前の幸村様の口からならありえないような言葉が聞こえたのです。
「好いておるぞ!」
「私もでございますっ」
ぎゅう、と私を強く抱きしめると幸村様は決まって私の首元に顔を押し付けてくれるのです。
それがとても愛らしくて可愛くて…、まるで戦をしている武士だとは思えないのです。
「そうだ、本日は新しい着物を見に行こう」
「わっ私にはこれで十分でございます。それに動きにくいのは…」
「何れ夫婦になるのだ、その為に必要な物…といえばわかるな?」
あぁ、あの純白の、真っ白なきものでございますね
は幸せ者にございます。幸村様のような素敵な方にここまで愛されているなんて…。
幸村様の後をついて…行くのかと思いきや、突然手を握られぐいっと引っ張られてしまいました。
「っ?!」
「後ろなど歩くな、横にござる」
にこーっと笑ってらっしゃる幸村様、もう何度惚れてしまったことか…。
自然にまわしている手が私の尻になければもっとよかったのですが。