第4章 破廉恥武将 幸村
「あ、、殿っ、口の端に蜜が」
私としたことがッ!!
焦って拭うものの、主様はそこではなく、もっと上、いや違くて、とわたわたされております。
「ここだ」
聞いたことのない口調が私の耳に届いたかと思うと主様の顔は目の前にあり、どんどん離れていくところでした。
「うむ、やはり美味だな!」
「…えっ、と、」
何をされたのか、まだ私は理解しておりませんでしたが、ようやく理解したのは主様が団子をあと少しで平らげるというところでした。
「は、あっぬ、主様ッあのっ!!」
「はコレより甘いのだろうか」
「え?!いっあ、あー私仕事が余っておりましたので、し、失礼いたします!!」
無礼と知りながら主様に了承も得ずに自室へとこもりに行きました。
だ、だって、あんなに近くお顔がッ!
初心な主様には考えられない行動っ!!ま、まさか佐助様が化けていらっしゃったのでしょうか?!
「そりゃないねー」
「っきゃあああぁあ?!!」
「そっそんな悲鳴あげないでよー!」
いつの間にやら背後にいらっしゃった佐助様は申し訳なさそうに頭をかいておられました。
「あっ…あ、そうでした、あのっ主様は…」
「…旦那ってさぁ、一途だからさぁ?限度ってもんがわからないお人なんだよ…」
「そう、でしたか」
一途、それを聞いて私はなぜかとても安心したのです。
あぁ主様は私以外のおなごを愛すことはないのですね、と。