第3章 ついてくる 佐助 ★
「ねぇ、どうしたの?体調、悪い?」
「」
初めて、呼び捨てにされた気がした。いや、今までされたことがあったのかもしれないけど、なんだか佐助の雰囲気が違うような気がした。
まるで昨日の男のような
「なに?」
「…はさ、俺様のことどう思ってる?」
「は、そりゃ好きに決まってんじゃん…?」
「なら俺様と一緒に暮らそう、そろそろあの部屋に一人じゃさみしいんだ」
そう、佐助は一人暮らし。
親戚も家族もいないらしい。
「で、でもお母さんたちがなんていうかわかんないし」
「絶対賛成してくれるって、それとも俺様と一緒は嫌?」
不安げなそんな顔で、何言っても今の私には恐怖しか植えつけられないんだよ佐助。
きっとあなたはそんなこともわかってるんだろうけど。
いつだって佐助は私よりわかってて、大人で、私は置いてけぼりで…
「違うけどっ」
「違うなら、いいじゃん」
佐助は私を細い路地裏に連れ込んだ。
この場面知ってる、昨日と同じだ。昨日と、同じ。
「佐助、だったの?」
「の怯える顔が見たかったんだよ」
「や、やめてよ、ちょっと」
佐助は私の胸元に顔をうずめた。
その時の横顔は昨日見たものとかぶって見えた。
「やだっちょ、ねぇ、佐助っ」
「…俺と一緒に」
「離してッ!!」
昨日とは違う恐怖に私は一瞬ひるんじゃったけど、今はそれどころじゃない。
早く家に帰ってお母さん達に助けを求めなきゃなんない。
家はもうすぐ近くだ、ここから叫べば絶対に出てきてくれる、お母さんたちは家にいるはずなんだから。