第3章 ついてくる 佐助 ★
その日も私はバイトだった。
店長にワケを話せば一時間も早くあがらせてもらえることになって、其の事を佐助に連絡すればよかったね!と言ってくれた。
「じゃ、おつかれさまでーす」
「気を付けてよぉー」
パートのおばさんに何故だか飴をもらって帰る。餌付けか?餌付けなのか?ん?
「佐助っごめん、またせた?」
「うん、10分くらいかなー」
「そんな待ってないじゃんか」
もってるカバンで佐助の足元をがんっと殴ってやると、痛いっと笑いながらこずいて来た。
「あ、そう、この辺から気配感じ始めたんだよね」
「そう、なんだ…」
佐助にそう伝えると悲しそうな顔できょろきょろと見渡した。
「街灯少ないもんね、相手の顔とか見えなかったの?」
「全然、相手の人も深く帽子かぶっててみえなかったな…あ、でも」
そういえば、と私は思い出す。
接近された時、少しだけ横顔が見えたような気がした。その横顔は…
「…若い、人だったかな」
「…そうなんだ、どれくらいの人?」
「私達と同じくらいか、ちょっと年上くらい…か、な」
ふと佐助の見せた横顔を眺める。
あれ、なんか、…似てる、気がするぞー…?
「…は、早く帰ろう?」
気のせい気のせい、気のせいだよって自分に言い聞かせても一度そう思ってしまえばその思考回路は止まることを知らないで、悪い方向へどんどん考えてしまう。
まさか、そんなわけないよね…?
「佐助、帰ろ?ね?」
腕を引っ張っても、佐助は一歩も動いてくれなかった。