第3章 ついてくる 佐助 ★
音楽を聴きながら本を読んでると突然片方のイヤホンが耳から落ちた。っていうか、引っこ抜かれた。
「うわっ」
「もうちょっとさーキャッとかないの?」
「そんな乙女チックじゃないんだわ…」
私には男の人をドキっとさせる所謂魅せる能力ってのが備わってない。だから驚いたときとか思いっきり低い声を出しちゃったり、言葉遣いはとんでもなく荒い時がある。
私から告白しておいてなんだけど、佐助は一体どこを好きになってくれたんだろうって不安になるときもある。
「あれ?今日は早いんだね」
「だって用事があるって言ってなかったっけ」
「…あー実はそれ、嘘なの」
「嘘?」
佐助はなんだか不思議そうな顔で私を見てる。確かに行き成り嘘つきましたって言ってそっかーあははーなんていう人はいないだろう。
「その…実はね、話があって」
「なんか深刻そうだね?」
「うん」
私は正直にストーカーに狙われているかもしれないって言った。
すると佐助はとてもびっくりしたような顔で私にその整った顔を近づけて来た。
「なんもされてないんだよね?!」
「されてませんから!!」
どうどう、と落ち着けるとふぅ、と息を吐く佐助。
「っていうか隣のクラスの…岡崎さんだっけ?その人、ちゃんと同じ最寄りだったよね」
「そうなんだよー、そこにまで来てるのかって思うとさ…不安で」
「大丈夫大丈夫、いざとなったら俺様飛んでくるからっ」
佐助は任せといて!と自分の胸を叩いた。
うん、佐助なら本当に飛んできそうだわ