第17章 怖い、恐い 政宗 ★
がたん、と音を鳴らして私は椅子から立ち上がって荷物を取りに行った。
駄目だ、今の政宗と目を合わせては駄目だ。
「聞こえなかったのか?」
「...っ!!」
後ろから思い切り抱きしめられ、耳元で囁かれる。
政宗だからこその安心感と、男だからこその圧迫感が同時に心に押し寄せる。
決して勝てる訳が無い
それを感じる。
「何があった」
政宗の左手が私の腹を伝う。政宗の右手が私の左肩を掴む。擽ったいような、そうでないような。
「何にも無いわけないだろ?」
こんなに震えて、と、私の肩をぐっと掴んで包み込む。
今迄こんなことは一度もなかった。確かに男の人は苦手だったが、触れられてここまで怯えることはなかったし、政宗になら抱きしめられてよ安心感さえ芽生えていたはずだ。
こんなにも怖いのは初めてだった。
「イジメられたか?」
「違う、よ」
「誰かと喧嘩でもしたか?」
「...ううん」
素直に言いたいけど、口に出してしまったら最後、政宗の笑顔は二度と見れないのではないかと思う。
「これ」
少し私から体を離した。まさか、洗い残しがあったんだろうかとひやひやする。
「...話してみろ、俺は絶対にを嫌わねぇよ」
え?と顔を上げると、苦笑いをした政宗がいた。
「kiss mark、ついてんぜ」
「なっ!?」
どうやら私の首元には沢山の印が残されていたらしい。