第17章 怖い、恐い 政宗 ★
私はなんでか、草むらに寝っ転がってた。
顔はベトベトするし、口の中には何とも言えないような苦味と酸味、鉄臭さが残っている。
なんで、こんな場所に居るんだろう。
「....かえろ」
生まれたままの姿だった私は散乱していた衣服を身につけて、土を何回か叩く。
そのとき、太腿の内側に何かが伝っていくのがわかった。
「え .....?」
恐る恐る手でとってみると、どろっとした感じがする。怖くなってそのものを見ないままティッシュで拭き取ってその辺に捨てる。
まさか、そんなわけがない。だって確認した時にはゴムだってしてた。
「嘘だぁ....」
信じられなくて、信じたくなくて。
兎に角真っ暗になってしまった道をひたすらに走った。
その時もずっと太腿の内側が気になって、たびたび手で拭って走る。
荷物なんかは荒らされた様子がない。私はなんであそこにいたのかまだわからない。
〜♪...〜♪...
「っ!?」
自宅に向かって走っていると、突然着信音が鳴り響いた。一体何事だと画面を見てみると、付き合ってもう2年になる彼氏、政宗からだった。
今は出る気分じゃない、でもこのまま放っておけば心配を掛けてしまうだろうし、仕方なく携帯を耳にあてる。
「もしもし」
『今何処にいる?』
何故か焦った声だった。
『今日泊まりに来る約束だったろ』
あー...思い出した。
学校帰り、私は直接政宗の家にお泊りに行く予定だったんだ。なのに全部荷物を持ったまま自宅付近にいる。
「ごめ、...忙しくて」
『まだschoolか?』
「いや、荷物取りに家に向かってるよ」
行く気にならないけど、どうしよう。