• テキストサイズ

BSR短編集

第14章 謝り癖 政宗



「…俺の、なにがだ」

「え、なにがって…」

「何が目当てだって、聞いてんだ」

頭をかきながら未だ低い体勢でいるに話しかけた。

「自分で言うのもなんだが、財力も権力も、俺の家にはある。当然それを俺が継ぐことになるのはアンタにもわかるだろ?」

「…は、はぁ」

「俺に言い寄ってくる女は大体、いや、今まで全員ソレが目的だ。アンタは俺の何に惹かれた?家柄か?」

言葉をつづけるたびに顔の表情が厳しくなっていき、遂には眉間のシワが濃くなり影ができてしまうほどだった。
だがはそれほどひるむことなく、政宗を見上げる。

「い、いえ…あの、お坊ちゃんだとは、聞いたことがあったんだけど…」

「…」

「……その、家柄じゃなくて、伊達さんに惹かれたんです」

「意味が分かんねぇ」

「すみませんッ!」

盛大に頭を下げ、何も言わなくなってしまった。
政宗は呆れた、というよりなんだか申し訳なくなってきてしまう。

「…で、その、なんだ。俺のどこが気に入ったんだ」

どうせなら聞いてしまおうと思い、頭を片手でわしゃわしゃさせながらを見る。
はええと、その、と口ごもってしまい、なかなかしゃべりだそうとしない。もともとこういう人間なのだろうとわかってはいるのだが、どうしてももどかしい気持ちが先走ってしまう。

「言えよ」

強めの口調でそう言うと、は何か決心したように顔を上げ、政宗の目を見た。




/ 140ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp