第1章 月見夜の灯火
こくり、と喉を鳴らして、輝く酒を飲み込んだ。
暖かいようなその何かは、私の何かに混じりあい、何かをほぐすように和らげてゆく。
「────美味しい」
私はぽつりと、感想を述べた。横の阿呆はただ嬉しそうに笑って、
「そっか、そうか。」と呟いていた。
「ほら、おつまみ、唐揚げだけじゃないんだ。
団子もちゃんとあるからさ、遠慮せずに食べなよ。」
「……遠慮なく、いただきますよ。
…ほら貴方も、飲みなさい。」
今度は自分の持ってきた高級な日本酒の蓋を開けた。
「謝々。じゃ、遅れたけど───」
にっと笑う奴と目をあわせて、
「「乾杯」」
二つの盃がぶつかって、からんと綺麗な音を奏でた。