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月が綺麗ですね【鬼灯の冷徹*BL】

第1章 月見夜の灯火


生い茂る木々はだんだんと減り、
いつの間にやら開けた土地に出た。
天国の端の方にある、私と奴しか知らないとっておきの場所だ。



ザッザッザッ、と均等な長さの芝が生えた道を進む。

横を見れば芝生が無くなり、
雲が見え隠れする裂け目が見えるようなこの場所は、
かつてあの男と様々なことを語り合い、酒を飲み合い、
そしてそのまま現世へと落としてしまった場所だ。

かつてと少しも風貌の変わらないこの場所は、月見には最適である。


ススキの束がさらさらと音を立てて揺れる。
すると、それが合図だとでもいうように、遠くに白い影が見えた。

影はこちらに気がつくと、手をゆっくりとふる。
私はそれに答えず、そのまま影の方へ近づいた。






「遅くなってすみません。待ちました?」

「全くだよ。すっごい待った!」



そういうやつの顔はとても嬉しそうで、
楽しみにしていたのだとよくわかった。
まあ、それは私とて同じではあるのだが、同じ気持ちを持っていたというだけでもまた嬉しいものである。


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