第7章 さよなら。
目を覚ますと、
朝だった。
今日はびっくりするぐらい
体調がよかった。
きっとこれは神様のくれた
最後の日なんだなと
頭の中で理解していたような気がした。
私のベットの端に
顔を伏せて寝ている母を起こさないように
私はそっと引き出しからレターセットを取り出すと
手紙を書き始める。
火神への手紙。
悩まずに一気に書き上げると、
私は再び引き出しの中へと
その手紙を直した。
そして、
母を揺り起こす。
「お母さん。おはよう。」
お母さんは起き上がると、
嬉しそうに笑った。
「昨日ね、火神くんが来てたのよ!!!誠凛ね、優勝したって!!!」
お母さんは興奮気味にそう語ると、
病室を走って出て行った。
多分、火神に電話しに行ったのだろう。
私は手鏡を取り、
自分を見る。
痩せ細って、汚い顔をしていた。
…火神幻滅するかなー。
そんな事を考えながら、
少しだけお化粧をして誤魔化す。
火神が来るのをじっと待つ。