第7章 さよなら。
シビレを切らしたように
黒子くんがめずらしく声を荒げた。
「男だろ!伝えたい事ぐらいはっきり伝えろ!!!」
その黒子くんの一喝に
私も火神もぽかーんとした。
一喝すると、黒子くんは溜息をつきながら
どこかへ去って行った。
「…っぷは。火神ださい。黒子くんに怒られてる。」
私はクスクスと小さく笑う。
「…っな!うっせーよ。」
火神は私をじっと見つめた。
「久しぶりだね。…この間は…助けてくれて…ありがとうね。」
「…なんであの時…飛び出して行ったんだよ。」
火神は不満そうにそう言った。
「…なんでだろうね。用件それだけ?私病院戻らないと…。」
私がその場を去ろうとすると
火神が私の腕を掴んだ。
「…もし、俺がWC優勝出来たら…聞いて欲しい事がある。だから…それまで絶対死ぬなよ。」
火神はそう言うと寂しそうな顔をした。
「…約束できない。」
「ばか。約束じゃねぇーよ。命令だ。」
火神は私の頭をワシワシと撫でた。
懐かしいそのゴツゴツとした手に
胸がきゅんとする。
「お前がなんと言おうと…俺はお前が好きだ!絶対に諦めねぇ!!WC終わるまでにくたばったらただじゃおかねぇからな!」
その時の火神の顔は
いつもみたいに自信に満ち溢れた
私の大好きだった表情をしていた。