第6章 雲にかくれた月。
火神が不器用に私の体に触れる。
時折震えるその手は
緊張しているのだろうか…?
体が触れた時に
伝わる火神の走るような心臓の音に
私もつられる。
溶け合うような熱い体温が
心地よくて。
愛撫されると、
体は無意識に跳ね上がり、
声が出てしまう。
私のそんな反応を
火神は愛しそうに見つめる。
「…見ないでよ。恥ずかしいじゃん///」
私は思わず顔を隠す。
「…隠すな。もっと見せろ。」
火神は優しく私の手をずらすと、
私にキスをする。
「…はぁ…いじ…わる…。」
私がそういうと、
火神は小さく笑った。
「うるせーよ。…もういいか?」
「…うん。」
優しくゆっくりと
火神が入ってくる。
決して漫画やドラマで言うほど
気持ちのいいものではなかった。
痛くて、変な感じがした。
それはもしかしたら
火神が下手くそだからなのかもしれない。
でも、
二人で共有するその甘い体温が
心地よくて。
この甘い官能的な時間が
幸せだった。
ずっとずっと
このままで居たかった。
これを世の中の人は
"気持ちいい"と言っているのかもしれない。
私はそう思うことにした。
いつの間にか先程の雨は
止んでおり、
空はうっすら暗くなり始めていた。