第5章 夕立の悪戯。
それから楽しい時間は
あっという間に過ぎて行き、
茜色の光が
窓に差し込んでくる。
「もう、夕方か。…そろそろ帰るか。ほら、送るから準備しろ。」
そういうと火神は立ち上がった。
「…うん。」
まだ、一緒に居たい。
そうは言えず、
私もゆっくりと立ち上がる。
「ほら、行くぞ。」
そう言って私の頭を撫でると、
火神は私の手を握る。
部屋を出ると、
外へ歩きだす。
先程まで頭上にあった太陽は
すっかり傾いていた。
楽しい事は一瞬なのに
辛いと感じる時はものすごく長く感じる。
相対性理論って言うらしい。
考えた人はすごいなぁーって思う。
私も今、まさにそれを実感している。
しばらく歩いた公園の前で
火神がふと足を止める。