第5章 夕立の悪戯。
校門に向かうと、
既に火神は立っていた。
「火神ぃー!」
私が火神に手を振ると、
火神も手を上げた。
「よう。久しぶりだな。…体は大丈夫か?」
火神はなんだか日焼けしていた。
「うん!もう大丈夫だよー!あの時は本当にごめんね。ありがとう。」
私が頭を下げると、
火神は私の手を握った。
「…無理…すんなよ。」
そういうと、火神は私を抱きしめた。
「ちょ、か、火神!?」
私は思わずバタバタとする。
「…怖かったんだ。お前がいなくなるんじゃねぇかって…。会えて…安心した。会いたかった。」
抱きしめられた火神の体からは
少しだけ汗のにおいがした。
「…うん。私も…会いたかった。」
私も素直に火神の背中に手を回す。
この暑い日差しの下で
抱き合うなんて…
きっと周りから見れば暑苦しいカップル…
なんだろうな。
でも、その暑ささえも幸せで…
ずっと離れたくなかった。