第5章 夕立の悪戯。
気がつくと、
もう8月になっていた。
入道雲がフワフワと浮き、
外に出れば、ひとたび蝉時雨。
じりじりと暑い光が
肌を焼く。
私は一人、
夏休みの誰も居ない教室でたそがれていた。
別に、
理由なんて無い。
ただただ、
家にいるのが退屈で…
あと数ヶ月でここにも来れなくなるかと
思うと、寂しくて。
風景を目に焼き付けるように
ただただ周りを見渡す。
"ブーブー"
携帯が鳴る。
火神からメールだった。
そのメールを受け取ると、
私は席を立つ。
今日は久々に…
火神に会えるのだ。