第4章 空を彩る花。
「…火神、怒ってた?」
私がそう聞くと、
お母さんは目を丸くした。
「花火…一緒に見るって約束してたのに…私が倒れたから…。」
目から涙がこぼれた。
泣いたのは久々な気がする。
昔からお母さんを心配させたくなくて
泣くのを堪えてきた。
泣くのを我慢するのは慣れているはずなのに
止まらなかった。
お母さんは優しく私の背中を撫でた。
「ばかねー。火神くんはそんな子じゃないってあんたが一番わかってるでしょうが。」
お母さんは優しくそう言った。
「でも…はなび…見たかったよぉ…火神と…もう…来年は…見れないから…。」
そうだ。
もう来年はないんだ。
私は火神と
空を彩る花を
見ることはもう出来ない。
そう思うと、
悔しくて悲しくて…
涙が止まらなかった。
お母さんも隣で
静かに泣いていた。