第4章 空を彩る花。
「んじゃ、いってくるね!」
私はもう一度姿見の前で一周すると、
玄関で下駄を履く。
"ドクン"
心臓がズキっと強く痛む。
思わず前のめりになり、
胸を押さえる。
お母さんがすぐに駆け寄り、
私の顔を覗き込む。
「大丈夫?」
「うん。なんか、ちょこーっとズキってしたくらい!」
私はそう言って笑うと、
すぐに背筋を伸ばし、
お母さんに手を振る。
「いってきます!」
「えぇ。無理…しちゃだめよ?」
お母さんは心配そうに私を見送った。
本当はずっと胸の痛みは続いていた。
でも、今日だけは…
お祭りに行きたかった。
歩くたびに
ズキズキと胸が痛む。
変な汗が出る。
折角お化粧も少ししたのに…
こんなんじゃ落ちちゃうよ…。
私はハンカチで汗をぬぐうと、
大きく深呼吸をした。
そして、
下駄をカランカランと鳴らしながら
待ち合わせの場所へと向かった。
じりじりと照付ける
夕日が暑くて眩しかった。
早く火神と会いたいな。
火神…
可愛いって言ってくれるかな…。