第3章 紫陽花の憂鬱。
そんなやり取りをしていると
火神が突然立ち上がった。
「ほら、やっぱり女は黄瀬みたいな奴が好きなんじゃねぇーか。俺がいくら頑張った所で無駄なんだよ。くだらねぇ。」
全員がポカーンとした顔で
火神を見つめた。
「火神っち…ヤキモチ妬いてるんスか?」
黄瀬くんは不思議そうに聞いた。
「ち、ちげぇよバカっ!ただ、俺はお前みたいにカッコよくねぇし…」
「か、火神はかっこいいよ!」
私は思わず立ち上がり、火神をじっと見つめた。
「あ?お前は黄瀬が好きなんだろ!?まぬけた顔してサインまでもらいやがって!そんな慰めいらねーよ!」
火神は眉をひそめて私を睨みつけた。
「火神のバカ!違うもん!確かに黄瀬くんの顔は好きだけど、それ以外なーんも興味ないし!私は黄瀬くんより火神の方がずっと好き!」
「だったら、何でこいつの写真集もってんだよ!こいつが好きだからだろ!?///」
火神は顔を赤くしてそう言った。
「私はこんなドヤ顔して愛の伝道師とか自分で言っちゃう人なんて好きじゃない!童貞って火神の事バカにするような人好きじゃない!単純に顔が好きだから写真集持ってた!ただそれだけじゃん!火神のバカ!わからずや!」
私は思わず声を張り上げる。
「どっちがだよ!俺の事好きって言っといて、他の男に媚び売りやがって!どうせ愛の伝道師じゃねぇよ!どうせ童貞だよ!何がわりぃんだよ!!」
火神も負けんと声を張り上げる。
「私の気持ち知ってて目の前でこのシャラっとした人に恋愛相談とかしてたわけ!?火神最低!この童貞男っ!」
「バカっ!それはお前の事だよ!」
「…へ?///」
「…あ。///」
なんだか一気にシーンと
沈黙が訪れ、
恥ずかしさからお互いに椅子に座った。
「…黄瀬くん。ボッコボコに言われてましたね。」
「うぅ。なんなんスかあのバカップル…」
黒子くんは黄瀬くんを励ましていた。
「…なんか丸く収まったから…俺帰るわ。ほら、鈴音。帰るぞ。」
そういうと火神は私の手を握った。
「へ!?あ、うん!」
私も慌てて立ち上がった。
「黄瀬、黒子!ありがとな!」
「ありがとぉー!」
そうして私と火神はお店を出た。