第3章 紫陽花の憂鬱。
「そうっスねー。カッコつけようとするのをやめればいいんじゃないんスか?」
黄瀬くんはアイスティーを飲みながら
火神にそうアドバイスをした。
「かっこつけようとしない…?」
火神は眉間にシワを寄せていた。
「そう。変に意識するから空回りするんスよ。あくまでも自然体で…ね?」
黄瀬くんはニコっと笑った。
おぉぉ!モデルスマイルだ!
私はなんだかちょっとテンションが上がった。
火神はというと、
何か考え込むように黙り込んでしまった。
「んで、鈴音ちゃんは?」
黄瀬くんは私の方をじっと見た。
「あ…えっと…相談の前に一ついいですか?」
私はそういうとカバンの中を漁り始めた。
「ん?なんスか?」
全員の視線が私に集まる。
「あの!ファンです!写真集も買いました!サイン下さい!」
私は黄瀬くんの写真集をカバンから取り出すと、
サインペンと共に黄瀬くんに渡した。
黒子くんと火神は唖然としていた。
「お!ありがとぉーっス!じゃ、サイン書くっスね。鈴音ちゃんへでいいっスか?」
「はい!お願いします!」
憧れの黄瀬くんにサインしてもらって
私は思わず頬が緩んでしまった。