第3章 紫陽花の憂鬱。
私は火神を探し歩く。
火神は廊下の端っこでうずくまっていた。
「火神?」
私が話しかけると、
火神はビクっとその大きな体をふるわせた。
そして、ゆっくりと私を見た。
「な、なんだよ。」
「火神、私の事嫌いになったの?」
「んなわけねーだろ!バカっ!好きにきま…ゴホンゴホン」
火神は何か言いかけて誤魔化すように
咳払いをした。
「…はぁ、わりぃ…。なんか、全然わかんねぇーんだ。こういう事。」
火神はうつむく。
「こういう事?」
「その…好きとか…恋とか…愛とか…///」
火神の口から出てこないような言葉が出てきて
思わず私は笑ってしまった。
「ぶはっ!何それー!」
ケラケラと私が笑っていると、
みるみる火神の顔が赤くなる。
「だぁー!うるせぇよ!…これから勉強…するよ。」
…勉強する?
「…何を?」
私は思わずポカーンとした。
「そ、その、こ、恋とかだよ!お、俺バスケとかしかわかんねぇーし…べ、勉強しなきゃかなって…。」
なんだか、火神が可愛く見えた。
バカだけど、
一生懸命で…
「恋とかって勉強するって言うより自分で探っていくもんじゃないのかな。」
「あ?」
火神はキョトンとする。