第1章 はじまりのお話。
しばらくぼーっと考え事をしていると、
お母さんと先生が帰ってきた。
お母さんはニコニコと笑っていた。
「あのね、先生がね、約束守るなら学校行っていいって!」
「え!?本当!?」
私は思わずベットから身を起こす。
「うん。ただし、今から言う条件は必ず守ること。いいね?」
そう言って先生は私のベットの脇に座り、
一枚の紙を見せた。
そこには沢山の注意事項が書いてあった。
一つ一つ、
先生と項目を読み合わせていく。
お母さんも隣でその注意事項に目を通す。
注意事項を読み終わると、
先生はふぅっと息を吐き出すと、
ニコっと笑った。
「ちょっと多いけど…これだけ守れば大丈夫かな。」
「それから、恐らく普通の生活をすると君の心臓には今以上に負担がかかる…。余命はもっと短くなる可能性がある。それでもいいかい?」
先生は少し不安そうな顔をしていた。
「はい。」
私が頷くと、先生は静かに笑った。
「鈴音ちゃんの人生だ。好きにしなさい。ただ…無理はしちゃだめだよ?」
そういうと先生は私の頭を子供のように撫でた。
「先生ー。私もう子供じゃないよー!」
私が口を尖らせると、
先生は驚いたような顔をして
それから大きな声で笑った。
「そうだね。鈴音ちゃんはもう15歳だもんね。」
先生の目にうっすら涙が溜まっていた。
「先生、ありがとう。」
私がそういうと、
先生は再び私の頭を撫でると、
足早に病室を出て行ってしまった。