第3章 紫陽花の憂鬱。
火神は思ったよりも足が速くて、
すごく楽しかった。
でも、周りの人の視線がものすごく痛かった。
家についたころ、
私と火神はびしょ濡れだった。
「…まぁ、走ってたら雨が正面から来るからね。傘の意味もないよね。」
「おう。」
私達は目を合わせて笑い合った。
私は火神にタオルを渡すと、
すぐに薬を飲みに行った。
ぎりぎり間に合った。
私はほっと一息ついた。
「…お前、薬のみすぎじゃね?」
その突然の声にぎょっとする。
気がつくと後ろに火神が立っていた。
「ほぇ!?居たの!?」
「おう。わりぃ。タオル返そうと思って…。」
火神はタオルを私に返した。
「あははー。ちょっと心臓悪くてさぁー…大した事じゃないんだけどねー。」
私は必死でヘラヘラと誤魔化す。
「ふぅーん…大変なんだな。…クシュンッ」
火神はくしゃみをした。
寒いのかな?
私は火神をぎゅっと抱きしめた。
「お、おい!?///」
「こうすれば、あったかいよぉー!」
私がそういうと、
火神は私を引き剥がした。
「…っばか!こういう事やめろよ!」
火神は怒ったようにそう言った。
「…ごめん。」
私は素直に謝った。
…怒らせちゃったかな?