ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第10章 ありきたり風
服がぶかぶかになったということは下着も同様なので、とりあえず服を片付けてくれとローにジェスチャーで伝えた。
それから甲板では、いつもより表情の柔らかいローと黒猫が戯れていた。
「にゃっにゃっ」
「ここが気持ちいいのか…?」
「にゃ(誤解を招く言い方すんな‼︎)」
ローの撫でる手はとても気持ちいいのは否定できず、それを堪能していた。
そこへ、ペンギンとシャチが来る。
「本当に猫になっちゃったな」
「シャチ、後でリンにボコされるぞ」
「ペンギンだって開発に協力したじゃねぇか!」
「お前あの時調合ミスってたら今頃リンはカピバラになってたんだぞ」
「カピバラも悪くねぇな…」
わけのわからない言い合いに最後はローも参加しさらに訳が分からなくなったリンは、とりあえずシャチを引っ掻いておいた。
それからローとシャチは他のクルーに呼ばれ、ローはリンを連れて行こうとしたがペンギンに止められ渋々リンを下ろして行った。
「さて、リン。遊ぶか?」
「にゃ」
首を横に振ると、だよな、とペンギンは笑った。
「でも…」
ペンギンはローの置いていった猫じゃらしを手に持つと、動かし始めた。
「に、にゃ…」
うずうずとし始める。じゃれたい…と思う心を抑えることもできず…
「にゃにゃ‼︎」
「あーかわいーなー。ほらっほいっ」
「にゃっにゃっ‼︎」
完全に弄ばれ、疲れた。
「にゃー…」
ぺっと舌を出し、水を飲みたいとジェスチャーする。
「そうだな、おいで」
よっと立ち上がったペンギンの後をてとてとついていく。
浅いボウルに水を入れて床に置いてくれた。
「にゃー」
「美味いか?って言ってもただの水なんだけどな」
それからペンギンの後をついて回った。
ペンギンが自室でやる事があると言ったので、着いていき、綺麗になっているベッドの上に飛び乗り体を丸くしてペンギンの仕事が終わるのを待つことにした。
「…後で船長に殺されそうだな…その時は弁解してくれよ?」
ペンギンはリンの頭を撫でながら苦笑して言った。
それからリンはペンギンのベッドで四肢を伸ばしたり、ころんと転がってみたり、一人でいろいろしていると、いつの間にかペンギンがリンを観察していた。