ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第9章 花風*
夕食の後、シャチはやはりバラされ、ペンギンや他のクルーがパズルのように組み立てていくのだった。
ローの部屋にはバスルームもついているので、リンシャワーを浴び、完全に寝る体制でベッドの上に座って本を読んでいた。
そこへ、ローが戻ってくる。リンのいるベットの淵に腰かけ、さらりと髪を撫でた。
「…ロー、まだ風呂入らないのか?」
唐突に聞かれたので、ローは返事をするのに数秒間が空いた。
「なんだ、眠いのか?」
「そうじゃないんだけど…」
言葉を濁し、照れているように目を伏せがちにしているリンに思わず笑みがこぼれる。
くしゃくしゃっとリンの頭を撫でた。
「わかった。待ってろ」
そう言ってローはシャワーを浴びに行く。
リンは、本を閉じて体育座りをした。
何故か急にローに抱きしめて欲しくなった。
人は、突然人肌が恋しくなる時があるらしい。と本で読んだことがある。
しかし、今までそんなことは無かった。
「また、ローがはじめて…」
ぽそっと呟く。
そして、ころんと仰向けに寝転がる。
そのままいろいろなことを考えながらぼーっとしているとドアが開く音がする。
足音が近づいてきて、ローが映る。
「待たせたな」
「ん、」
ローはリンの額にちゅっとキスを落とす。
リンは起き上がる。心臓が締め付けられるような感覚。しかしその痛みは心地よく響く。
見ると、ローはタオルを下半身にしか巻いていなかった。
そのおかげでリンの心臓は余計にドクドクと脈打つ。
ローは先程と同じようにベッドの淵に腰掛ける。
ガシガシと髪を別のタオルで拭いていると、後ろからリンがお腹へ腕を回してきた。
つまり、服も何もつけていないローの背中に布一枚越しにリンの胸やお腹の柔らかさがダイレクトに伝わる状況。
そんな積極的なリンに、ローは少し戸惑う。
「どうした」
「わかんない…でもローにぎゅってされたい」
(Σぎゅって天使か‼︎いや天使だ‼︎)
とローの荒ぶった心境はさておき、そんなリンの言動に我慢できるはずもなく、ローはベッドに上がるとリンを優しく抱きしめた。
「ん…」
「今日は積極的だな」
「…知らない」