ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第8章 そよ風
結局また言い負けて、脱ぐ羽目になったリン。
着替えは見るなとキツく言い、素早くタオルを体に巻きつけた。
ローは既に温泉に入っていたので、その対角線上の離れたところから入った。
「おい、何してる」
「温泉入ってる」
「もっと近くに来い」
「だがことわr」
全てセリフを言い終える前にローが突然立ち上がったのだ。タオルを巻いているのはわかっているし男の裸なんて見慣れているものだと思っていたのに、恥ずかしくなり、リンは咄嗟にバッと顔を背けた
「ちょ、沈め‼︎」
「ウブなとこもあるんだな。知ってたが」
「知ってたがってなに…ではなくてこっちに来るな!」
バシャ、バシャと水が暴れる音が段々と近づいて来ることを察し、体を小さくするリン。
音がやんだと思い顔を上げると、ローの顔が目の前にあった。
髪はかきあげたのか、少し濡れて額が見えている。滴る水滴はローの色気を倍増させていた。
リンは恥ずかしくなり視線を逸らす。
「っ…」
「そんな怖がるなよ…」
少し寂しそうにそう言ったので驚いて再び目線を合わせる。
ローの瞳は、心なしか熱を孕んでいて、扇情的だった。が、どこか寂しそうだった。
「怖いんじゃなくて、その…恥ずかしくなっただけだから…」
照れ臭そうにリンが言うと安心したのか、ローはいつもの表情の戻り、隣に座った。
ゆったりと浸かっていると、リンは徐々に睡魔が襲ってきて、眠ってしまった。
「おい、風邪引くから寝るな」
「ん〜だって…気持ちよくて…」
むにゃむにゃと起きたくないと言うリン。
今自分がどこにもたれかかっているか、わかっていないリン。
ローはもたれかかってきた自分の可愛い猫を見る。
白い肌に痩せすぎない肉付き。色っぽく半開きになった唇が誘っているようにしか見えず、欲情せざるを得なかった。
「……」
自分の中心に集まってきた熱を紛らわすため、ローは爪で自分の腕に傷を作った。
「リン、起きろ。さっさと試して出るぞ」
「むにゃ…はっ‼︎そうだった…って血‼︎血出てる‼︎」
「お前の為に出したんだよ」
半分、いやほとんど自分を抑制するためだが、一石二鳥だということでローは自己完結する。
リンはローの腕に手をかざす。