ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第7章 悪風
余裕で体力が残っていたリンは、近くの島へと飛んだのだった。
「懐かし…くはないけど…」
強くなった実感はある。
この先何があっても、ずっとここにいたい。
そのためにこの力を使おう、と決心を固め、リンは帽子をかぶった。
ハートの海賊団の船は、浮上しざるを得ない状況に立たされていた。
なんと、件のアホ七光りが街のスピーカを通して出てこなければ大将を呼ぶと喚きだしたのである。
「どうしますか船長」
ペンギンは腕組みをしながら問いかける。
「あぁ…大将なんざこんなところでお目にかかりたくねぇからな。浮上だ」
船体が動き出したことにリンも気付く。
急いでローのもとへ向かった。
一方海軍では。
「ショー・ボンコ様、西の方に黄色い船体が現れました」
「やはり!!俺の読み通り出航はしていなかったか!!馬鹿なルーキーだぜ…ここで終わらせてやる!!」
ショー・ボンコは高らかに笑っていたのだった。
その頃、一連の動きを聞いたリンは、あることを提案していた。
「私、今からその海軍の船に潜入してくる」
「「「ハァ?!!!」」」
クルーたちの反応は予想通り。そして、ローの反応も予想通りだった。
「で、どういうわけでそんな結論を出したんだ」
「うん。こっちが姿を現したところで大将でも中将でも呼ぶと思う。だからその連絡手段を失くしに行ってくる」
「おぉ、なるほど!!」
シャチが大きく頷く。
「リンが言ってる間、おれたちがログが貯まるまでの数時間耐えてればいい話か!」
「だが、今昼だからあと7時間あるぞ」
「余裕だな」
ペンギンの言葉をローが打ち消す。
「決まりだ。リン、行ってこい。だが、絶対に戻ってこい」
「私に拒否権は?」
リンの問いかけに、
ローはにやりと笑った。
「無い」
「りょーかい!!!」
その言葉を発した直後、ビュウと風が起こり、全員が目を開ける頃にはリンの姿はなかった。
「さあ、あいつを全力で守るぞ」
ローが言うと、クルーたち全員の士気は最高潮に。
「「「アイアイキャプテン!!!」」」
「え!?みんなおれのセリフ」
「「「うるせえ!!!」」」
「すいません・・・」
「「「打たれ弱っ!!!」」」