ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第7章 悪風
「まぁ、おれがお前になんかしてやれるっていったら……そーだな、服のコーディネートでもしてやるよ」
シャチは、リンを眺めながら結論を出した。
リンは大抵、裾の長いパーカーを着て、下は黒いスキニー、靴は茶色のブーツだった。
「…コーディネートって…」
「お前な、着飾ることくらい覚えとけよ?女の子なんだからな」
バシバシと肩を叩いてケラケラと笑うシャチに、リンはシャチもどこかお母さん気質があるなと感じていた。
「いや、お母さんっていうか、オカン…」
「あ?」
「いや、こっちの話」
リンは、次の島に着いたらシャチと服を見に行く約束をして海中ウォッチングを再開した。
船長室、ローの部屋にはペンギンがいた。
昼間の事は、今後大きな問題になりそうだからだ。
「あいつら(海軍)をリンに会わせるわけにはいかねぇ」
「特にあの大尉の奴は今後も厄介になる可能性が高い…消しとくってのも一手っすけど」
ペンギンは腕組みをしてドアにもたれながら言う。帽子で表情は見えない。
「あれはリンの言ってた七光りのバカだろう。ここで消すと後が面倒だ…チッ…」
ローは脚を組み替え、開いていた本を閉じた。煩わしさから、読む気が失せたのだろう。
「まぁあと1日ですし…リンを外に出さなきゃいいってことで」
「あぁ…明日はおれも出ねぇ。出航までの手筈は変更なしだ」
「了解っす」
ペンギンが部屋を出て、ローは宙を睨む。
厄介なのに遭遇してしまった、しかしもう見つかってしまったことは取り消せない。今後をどう慎重に行くか…。
ローは立ち上がって守るべき対象を探しに部屋を出た。