• テキストサイズ

ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第7章 悪風


夕食を食べていると、見張りのクルーが食堂へ飛び込んできた。

「船長!海軍がそこまで来てるっす‼︎」

「潜水だ」

潜水の準備が始まる。
スプーンを加えてバタバタするクルーを見ていたリン。

「潜水初めて」

隣にいるローに言うと、こう返された。

「あぁ、そうか。窒息しないように気をつけろよ」

「ちっ窒息するのか⁈」

「あぁ。おれにキスすればならないがな」

窒息するというのを真に受けているリンと、それを楽しんでさらにからかっている船長に、ペンギンは苦笑した。

「船長、からかうのも程々にしてやんないと、間に受けすぎてリン顔が青いっすよ」

ローはククッと笑っていた。
リンは、今のが嘘だということに気付き、今度は顔を赤くした。

「リン、本当だと思ったのか?」

ケラケラと笑いながら聞いてくるシャチに、リンはすっかり落ち着いた表情で答える。

「いや、みんなローとキスしたのかと思って想像しかけた。危なかった」

その言葉に、リンを除く全員が一瞬沈黙した。

黄色い船は姿を消す。

その頃海軍は、必死にハートの海賊団を探していた。


「あのクソルーキーめ…必ず捕まえて殺してやる…!この俺にあんな醜態を晒させやがって…‼︎」

そう、昼間ローが悲惨な状態にした海軍、いわゆる七光りがこれである。

「ショー・ボンコ様、船が見つからないとの連絡です」

「あるはずだ‼︎しっかり探せ」


そんな頃、初めて潜水というのを体験したリンは、無邪気な子供のように(表には出さないが)はしゃいでいた。(ひっそりと)

「窓の外がみえる…あ、魚…」

ひとり、むふふと楽しんでいると、隣にシャチが来た。

「リン、魚好きなのか?」

「見るの好き」

相変わらず声は抑揚がないのに目はキラッキラとしていて、わかりやすいのかわかりにくいのかよくわからねぇ奴だなぁと思いつつ、面白いからいいかと結論を出したシャチ。

「私この体になってからもう海の中なんて見ることないと思ってたけど見れた。すごく感激」

窓にへばりついているリンの頭を、シャチはぽんぽんと撫でる。

「まだまだお前の知らないもん見せてくれるさ、船長はな」

「…‼︎」

パッと振り向くリンに、シャチはにこりと笑う。
/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp