ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第7章 悪風
一夜明け、目覚めるともうすっかり日は登っていたがベポが起こしに来なかった。
何かと思い、急いで着替えて外に出ようとすると、ドアに紙が貼ってあった。
『部屋から出るな』
「…はぁ?」
なんの説明も無しの言葉に納得するはずもなく、ドアを開けようとするも
「…開かない」
という状況下に置かれていた。
しかし、リンは能力者だ。風になれば、こんなドアの隙間さえ簡単に抜け出せる。
「ふぅ…誰もいない…?」
念のため風になって船内をめぐる。
船番とみられるクルーが何人かいた。
「街で何かあったのかな…」
リンはそのまま、姿を現さずに風となって街へ向かった。
案の定、街の外れの薬品を取り扱う店の近くで睨み合っているロー達と、海軍がいた。
「ここでこんな大型ルーキーに出くわすとは…俺は運がいいなぁ‼︎なぁお前ら‼︎」
「はい。ショー・ボンコ様は運がとてもよろしいです」
「これで俺も昇格決定だ!しかし、俺の狙う首はこんなルーキーのもんじゃねぇ…あの見捨てられた子供‼︎今はもう成長したのかもしれねぇが…」
「ショー・ボンコ様、しかしそれには死亡説が」
「バカヤロウ!あれは事故なんかじゃ死なねぇ…」
会話から、自分のことを言っているんだと見当がついた。
「おい…お前らおれを前にして他のヤローの事をつらつらと…随分余裕だな?」
「お前なんか所詮ただのルーキーだろ?!」
ペンギンとシャチ、ベポが構える。
「フッ…そのただのルーキーに手も足も出なかった時、お前はどう言い訳すんのか楽しみだなぁ…?」
ニヤリと笑ったローの顔の悪いこと。
「やっちまえ!!!!!!!」
さっきから俺様気取ってたやつが号令を出すと、一斉に攻撃されるが。
すでにサークルが彼らを囲んでいた。
「ROOM」
「なんだ、これは」
「シャンブルズ」
バラバラになったと思ったら今度は胴が多い人間が構成されたり、足がないものが居たり、悲惨な状態になった。
「行くぞ」
スタスタとローを先頭にみんな船に向かい始めた。
身動きさえままならない海軍はただわめくだけ。
「くっそ…‼︎覚えてろよ‼︎」
これが負け犬の遠吠えか…と納得しているうちにローたちの姿が見え見えなくなってしまった。