ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第6章 吹花擘柳 (すいかはくりゅう)
あまり聞きなれない言葉に戸惑うが、鉄分、タンパク質、と小声で復唱する。と、頬から手が離れ、代わりにキスが落ちてきた。
「…!」
「飯のことはコックに言っておく。気にするな。あと少し待ってろ。少しはマシになる薬を作ってやるから」
ローはそう言うと再び背を向けて作業に取り掛かる。
まったく、こいつのペースは不規則でわかりにくい。
だけど嫌悪感など全くなくて。
その大きい背中に、リンは小声でお礼を言った。
「ありがと…」
そんなリンに、思わず頬が緩んだ。
決してリンには見せないように、小さく笑った。
「…ククッ…かなわねぇな…」