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ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第4章 木の芽風


それから体を起こし、寝過ぎゆえの気だるさを発散するように伸びをした。

「外出るぞ」

「外?」

「あぁ。少し冷えるから上着着てけ」

そう言うと、ローは自分の部屋に戻っていった。
リンは言われた通り、薄手のロングコートを羽織り、帽子をかぶって外に出る。すでにそこにはロングコートを着たローが待っていた。

「…どこ行くの」

「酒場だ」

言われるがまま後をついていき、賑わっている夜の街を進む。
ガラの悪そうな奴から娼婦らしき女。街の夜の姿は大抵こうだった。



入った店には既にクルー達がある一角の場所を占領していた。

「あ!リンだ」

ベポの手を振る姿にきゅんとする。

「私、ベポの隣がいい」

「お前は俺の横だ」

「…」

あからさまに嫌そうな目つきに、ローはニヤリと笑う。

「なんだ?なんか言いたいことでもあんのか」

「…いいえ」

渋々とローの隣に座る。
だが、逆の隣はベポだった。
ばっとローの方を見る。

「…無駄なとこイケメンだよなローは」

「礼は唇にくれ」

「断る」



ガヤガヤとする店内で、ベポに寄りかかりながらオレンジジュースを啜っていた。

どうやら情報収集の報告、またこれからどうするかと、そんなようなことを話していた。ベポも、可愛い身なりからは想像できないが、航海士なのだ(公式設定)。だから邪魔をするわけにはいかない。

余談だが、ハートのクルー達は馬鹿騒ぎすることはなく、落ち着いた人の集まり(独自設定)だったから少し海賊のイメージが変わったリンだった。

しかしどうもこうも暇であった為、店をキョロキョロと見渡す。そして、ピアノを発見したアカリは、風になり、突然イスの上に姿を現した。突然現れた謎の人間に、少しだけ周りがどよめく。

「久々のグランドピアノ…‼︎」

そう、設定で書いたがリンはピアノが弾ける。というか結構上手い。初めは、姫として女を磨くのか何なのかわからないが習わされていた。しかしクラシック系に飽きて勝手にジャズピアノを弾き始めて素晴らしいスキルが身についてしまったというわけである。もちろん、クラシック系の音楽が下手はわけでもないが。
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