ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第1章 突風
ハア、とため息をついた船長と呼ばれていた男が口を開いた。
「コイツがさっきの鳥の正体だ」
「「「「「ええええぇぇぇぇぇ?!」」」」」
「本当にあの“風使い”?!」
その呼び方を言われ、苦笑いしかできなかった。この厨●病くさい二つ名は好きではなかったからだ。
「まあそんな感じの恥ずかしい代名詞いただいてますけど・・・」
いいじゃねーか、とかかっこいいじゃん!と騒いでいる輩に苦笑いで対応していたとき。
「お前、船に乗れ」
「はは・・・は?」
「「「?!!」」」
船長の爆弾発言に、リンはともかく、クルーもついていけないようだ。
「今なんと?」
「だから一緒に来い。お前はここで死ね」
「あーはい、いや死ねって・・・」
わけのわからない展開に、頭が理解することをやめそうなのを、必死に止めていた。
「おれ賛成!」
クマが挙手しながら言う。肉球かわいい・・・じゃなくて。
「くまさん、早とちりはいけない」
するとクルーたちが次々に賛同していった。
「船長が認めたくらいだし、それに空飛ぶやつなんてすごくね?!」
「おお!おれも賛成だ!!」
クルー全員が賛成するのに時間はかからなかった。
「本人の意見ガン無視じゃないの」
「当たり前だ」
「何故?!」
ぎょっとして男を見る。
「お前に拒否権は、無い」
二ヤっと笑ったその顔の悪いこと。
リンの頭はついに理解することをやめた。