ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第1章 突風
「いえ、人違いですよ」
「違わねぇよ。さっき飛んでるお前を見たんだ。間違えるわけねぇ」
見られていたのか・・・という失態感に駆られ肩を落とす。
「・・・で、なんですかこんな物騒な事して。顔はいいのに貴方、そんな怖い顔してたらもったいないですよ」
思ったことをそのまま口に出してしまう癖は、幼い頃からだった。すると、男はじっと見つめてきて、それから笑った。
「ククッ」
「ちょ、笑って、え、人の顔見て笑うってひどくないですか」
「お前何なんだ」
「いやこっちが聞きたい!!」
まだくすくすと笑っている男を失礼なやつだなと思い放ってその場を後にしようとしたとき。
腕を掴まれた。
「まぁちょっと来い」
「はぁ?!」
そのまま手首を引かれて連れてこられたのは、黄色い潜水艦のような船の前。
甲板からひょこっと白いクマが顔を出す。
「あ、キャプテンおかえりー」
「あぁ」
「・・・くまがしゃべった」
唖然としていると、ひょこっと顔を出すクルーらしき人。
「船長なんすかそれ」
「こいつは・・」
「待って今クマいたし喋った」
その間にどやどやとクルーたちが集まってきた。
「あ、おれベポっていうの。よろしく!!」
「あ、こちらこそ・・・」
「「打ち解けんの早ぇよ!!」」
クルーたちの総ツッコミが決まった。
「すみません・・・」
「「「∑打たれ弱っ」」」
見事にクルーたちとシンクロしてしまったリン。