ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第3章 光風
部屋に戻ると、寝巻きに着替える。ショートパンツにTシャツ。目の保養になんてならないけどね…と見えない何かに悪態をつきながら着る。
その時、ドアがノックされる。
「おい、いるか」
「?…はい」
「入るぞ」
ガチャリとドアを開けて入ってきたのはこの船の船長。
「…肌は白いんだな」
「どこ見てんだ変態…じゃなくて急にどうした。私もう寝るとこだ…」
「ベポが俺の部屋で酔いつぶれて寝た。イビキがうるさい。」
「あぁそういうこと…じゃあ好きにどうぞ」
「そのつもりだ」
「…上から」
だいたいこの人の性格は把握した。
無愛想で上から目線ででも医者で頭良くて…まぁ怖くは無い。今まで出会ってきた凶暴な奴らとは違う。そう思っていた。
「なんだ、じろじろと」
「うーん…まぁ総合的に…変」
「あ?」
眉間に皺がよる。
「だって頭いいし、でも海賊だし、無愛想だけど優しいし…私と同じ変な人」
「…そういうのを口頭で直接伝える奴の方が断然変だと思うがな」
呆れた目でそうリンに返すロー。
こんな変なことを言われても手を上げない、しかもこの会話が心地よいとさえ思っている自分に少しの疑問をもって。
「まぁいいや…とりあえず、おやすみなさい」
「…あぁ」
ボスんとベッドに飛び乗って布団をかぶるリン。
「zzz…」
「寝付くのが早ぇんだなこいつ」
すぐに聞こえてきた規則正しい寝息にフッと笑いながら布団の塊を見る。
あぁ自分はどうにかしてしまったのだろうかと思いつつも、決して嫌では無いその感情を受け入れた。
しばらくして訪れた睡魔に、ローは規則正しく上下する布団の塊を抱き枕にして眠りについた。