ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第2章 潮風
「今すぐ口を閉じて大人しくするか、このまま切り刻まれて海に落とされるか選べ」
リンはすぐに口を閉じた。こんなところで死にたくはない。冷や汗が一筋流れた。
「よし、いい子だ」
ツッコミたいことはあったが、生命の危険を感じた為、何も言えずにいた。
ローはそのまま食堂へと歩いて行った。
「あ、船長!今呼びに行こうと思ってたんすよ!」
何故かシャチが食堂のドアの前に。
「いいか」
「大丈夫っす‼︎」
「開けろ」
シャチがドアを開けて一歩踏み込むと、パン!とクラッカーの音が。
それを合図にいくつかクラッカーの音が鳴った。
「な、なに……」
ローに降ろしてもらい、足をつける。
「リンがハートの海賊団に入って5日記念‼︎」
シャチが高らかに叫ぶと、歓声が上がった。
「…バカなの」
「「「ひどっ!!!!!!!」」」
すると、ベポがやってきた。
「あのね、リンがあんまり部屋から出てこないから心配したシャチとペンギンがやろうって言い出したんだよ」
「心配?」
「そう。その…怖がってるんじゃないかとか、嫌なんじゃないかとか…」
ベポがおどおどしながら言う。首を傾げながら控えめに聞くその姿を可愛いと絶賛しながらも、その言葉に疑問を覚える。
「怖い…?」
「男ばっかりだし」
ベポの例えに、リン は吹いた。
「別に怖くない。部屋から出なかったのはやることなかったからかな…」
「「よかった〜」」
シャチとペンギンが声をそろえて安堵の息をついた。
「俺たち本当に心配で」
シャチがへへへと照れ臭そうに言う。
「いやお前だけだ」
ペンギンは腕を組んでふいとそっぽを向きながら言った。
「あぁ⁈お前カッコつけて何言ってんだ!おめーが1番心配してたじゃねぇか‼︎」
「それはお前だろ」
「いや誰が一番心配してたのかって⁈船長に決まってんだろ‼︎」
そのシャチの一言に、あたりが静まる。
心なしか空気の温度まで下がったような気がした。
「シャチ…後で部屋に来い」
「ウィッス」