ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第2章 潮風
「小さいからこそ…」
「でかけりゃいいってモンでもないんじゃねぇのか」
「そうかな…」
リンは再び手に目を落とす。
「小さいから、握り潰される。抵抗もできない。非力だ」
その時、ローが手を離した。
外気に触れ、ひんやりとした空気を感じる。
すると、今度は頰に、温かさを感じる。
温かくて大きな手は、リンの両頬を包んだ。
また、ローに目線を戻す。
「だから、俺たちがいる」
「…?」
言っている意味がわからず黙っていると、ローはふっと笑った。
「もう一人で戦うとか考えるな。お前のその小さい手を守るために仲間がいるんだろ?」
その言葉にローの手を掴んで頰から引き剥がす。
「まっ守られるとか性に合わない‼︎」
ローは目を見開いて、そして、笑った。
「……‼︎」
声も出せないくらいツボに入ったようだ。肩が揺れている。
「…なんでそんなに笑うの」
「お前…ふはっ…バカだな」
「なっ」
リンは顔が赤くなった。
羞恥心もあるが、それ以前にこの目の前にいる男がこんなに笑っていて、その笑っている顔を見た瞬間何かが疼いたのだ。あの時と同じように。
「小柄で細くてか弱そうな子だったらわかるよ。私そんなんじゃないし、かわいくもない。守られるとか性に合わない」
「そんなこと気にしてたのか」
やっとおさまったのか、落ち着きを取り戻しつつあるロー。
「まぁ確かにか弱くも小柄でもないが、そんなの関係ねぇよ。仲間は仲間だ。助けるのは当たり前だろ」
しれっと言い、いつもの自信に満ち溢れた顔になっていた。
「…仲間なんていたことないからわからない」
「今いるじゃねぇか」
「今まで」
「これから知ればいいだろ」
「そうだけど」
口答えをしていると、ローの表情が危ないものへと変わった。
「口で言ってわからねぇ奴には体で教えるしかねぇよなぁ…?」
「⁈」
ゆらりと椅子から立ち上がったと思えばリンは抱き上げられ、いわゆるお姫様抱っこ状態に。
「うわなにこの展開あるあるー」
「お前気は確かか」
「…いま口が勝手に動いた」
リンを一瞬ジャックしたのは作者だった。
「とりあえず黙ってろ」
「いや待て私重いし降ろせ‼︎こんな絵図誰得でもないから‼︎」