• テキストサイズ

ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話

第17章 繋風




「畜生…明日の朝食をどうやって食えばいい…とんだ復讐にあった…!!」


バラバラになったヴェルゴ。

「ずいぶんじゃないか…ロー。こりゃあ番狂わせだ……だが必ず後悔する…よく覚えておけ…

お前はジョーカーの過去を知らない。それが必ず命取りになる!!

少し名を上げたくらいの新世代に取って代われる程世界は浅くない。教えてやれよスモーカー。

威勢だけの小僧共にこの根深い世…!!」


そこでヴェルゴの言葉が途切れたのは、ローが斬ったからだった。


「おれの心配はいい。てめェの身を案じてろ…この部屋はやがて吹き飛ぶ。じゃあな……海賊ヴェルゴ」




その瞬間に、パッと自分のいる場所が変わったことにリンは気づいた。暖かい人の体温。
ローの顔が見えた。


「…横抱きにしなくてもいいよ」

ローはリンを横抱きにして歩く。

「バカ…ケガ人を乱暴に扱えるかこのアホ…」

「バカって言ったんだからさらにアホを付け足さないでよ……フフッ」


ローも少し笑顔になった。


「トロッコを取りに行くぞ白猟屋」

「あァ?…!?リン?!」

振り向いたスモーカーは驚いて葉巻を1本落とした。

「スモーカーが戦ってる時に、煙に紛れて来れた。ローの心臓を取り戻してくれてありがとう」

ローの腕の中でリンは笑顔で言った。

「あとスモーカーも治してあげたいんだけど、もう少し待って…」

「いい。気にするな。また借りが出来ちまうだろ」


スモーカーは再び前を向いた。


「お前の今の居場所はそこだったのか」

ポツリと、独り言のような、問いかけているような声でスモーカーが言った。

「そうだよスモーカー。ここが、今の私の居場所。ここで私は生きて、そして死ぬ」


「…ふっ、そうか」







トロッコのある場所までリンはローに横に抱かれて移動した。

トロッコに先に乗せられて、ローとスモーカーが引っ張っていく。


「本当にこれが必要なのか?」

「だからさっき言ったろ!これで全員乗せて出るんだよ!」

「リンがいた驚きで忘れた」

「てめェな…╬」


そんな言い合いを、リンはトロッコの中で聞きながらクスクス笑っていた。
/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp