ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第17章 繋風
ドサッとスモーカーが倒れた。
「海軍をナメきっている俺を消そうにも、実力がなくてはなァ…スモーカー。勇敢なだけでは部下も浮かばれねェ」
「ハァ…ハァ…ガフッ」
「!?」
ローの足音に気づいたヴェルゴが後ろを振り向く。
「俺の心臓…確かに返してもらった、スモーカー」
「そういう事か!!貴様!!!いつの間にっ!!」
リンはスモーカーの方を見る。彼もまた満身創痍だった。
(スモーカーも治してあげなきゃ…でもまだ行っちゃいけない。あの場へ行っちゃいけない…)
ローは帽子を被った。
「これで終わりだ、ヴェルゴさん…」
「やっと思い出したか。あるべき上下関係を。クソガキ…」
「ーーーそう思ってろって事だ」
「!」
「いつまでもそのイスに座ってられると思うなお前ら!!聞こえてんだろ?ジョーカー!!」
ヴェルゴのポケットにしのばせてあった電伝虫から、ジョーカーことドフラミンゴの声がした。
「ヴェルゴはもう終わりだ。お前は最も重要な部下を失う。シーザーは麦わら屋が仕留める。つまり「SAD」も全て失う…!!…この最悪の未来を予測できなかったのは、お前の過信だ…!!いつもの様に高笑いしながら次の手でも考えてろ!!」
リンは目を閉じてローの声を、ローの言葉を聞いていた。
「ーーーだが、おれ達はお前の笑みが長く続くほど予想通りには動かない」
『フフッ…フッフッフッフッフッフフッフッフフッフッフ!!!イキがってくれるじゃねェか小僧!フフフフ!!大丈夫かァ!?』
凄まじい殺気を感じ、リンは目を開けた。
『目の前のヴェルゴをキレさせてやしねェか!?昔…!!覚えてるか!?どうなったか!?お前ヴェルゴをブチキレさせて一体どうなった!?フッフッフッフッ!!トラウマだろう!?消えるはずもねェ…ヴェルゴに対する恐怖!!』
ローは鞘からゆっくりと刀を抜いた。