ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第17章 繋風
「噂以上にフザけた海賊団だ…!!観念しろ!!!!麦わらの一味!!海賊茶ひげ!!!」
麦わらの一味と茶ひげが追い詰められた感じの中、リンはローを見つけ、傍に降り立った。
「風はもう読んだ。私も加勢する」
「!……あぁ、頼む」
驚いた顔をした後にフッと少しだけ頬を緩めたロー。その顔を見たリンも笑顔になった。
ローの指示に従い、2時間以内に脱出することを目指し、それぞれがそれぞれの役目を果たしに走り出した。
ふと、違う違和感のある風を感じ取り、その方向を見れば、見覚えのある背中。
「…………」
リンは1人、ある部屋に向かった。
「最悪な結末は迎えたくない。小説では、最悪な結末もまた味があっていいけど、私は最悪な結末よりも幸せな結末を迎えたい」
その装置の前に立ち止まり、ボタンを見下ろす。
「…………っ、情報量半端ないな…さすが科学者…わけわらん…」
目当ての情報を探し当てる頃には頭痛でたっていられず、片膝をついてバランスをとっていた。
「ハァッ…ハァッ……」
5分ほど休み、頭痛もやわらいだところで立ち上がった。
「1000年分でいいかな…よし」
装置に手をかざし、目を閉じる。
ふわりと風が髪を揺らす。
「ーーーーーよし」
リンは静かにその場を去った。
「なぜ執拗に能力を使う…!?…君らしくない戦術だったな、スモーカー君」
リンが風に違和感を感じた者のところへ行けば、戦闘が繰り広げられていた。
「…スモーカー………」
その後にローが横たわっているのが見えた。
気配を消して瞬時にローの隣へ現れると、ローは目を見開いた。
「なっ…!?」
「療癒風(りょうゆかぜ)」
ローの体を撫でるように優しい風が吹いた。
「お前、まさか」
「私がここで出来ることはここまで。それ以上は手を出しちゃいけない気がする。だけど、見届けさせて」
微笑むリンの口からは血が流れていた。
「…お前は本当に…後で説教だ。覚悟しておけ」
「うん、楽しみにしてる」
笑顔でそう言ったリンは、自分の体を支えられなくなり、フェンスにもたれた。
ローは起き上がり、リンの頭を撫でてから再び戦闘の場へと歩いて行った。