ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第17章 繋風
「向こう岸に怪物…」
ブルック、サンジ、ゾロ、リン、侍の5人は、侍の胴体が沈んでいる可能性のある湖までやって来た。
向こう岸を見てみると、なるほど怪物がいた。
「あぁ、あの変な山はアレだったのか」
リンの言葉に山だと思っていたものを見るサンジとゾロとブルック。
「あの怪物の名は確か…スライム。私、本で読んだことあります!!スライムとは…女性を好んで襲い、その液体で女性の服のみを溶かしてしまうハレンチモンスター」
ブルックが熱弁する。
「ええ!?何だその都合のいいモンスター!そ…その本今度貸してくれ!!」
サンジが興奮し、ちゃっかり侍も「拙者も!!」と盛り上がっている。
「その話が本当だとしたら私は性別を男だと認識されてるのか。地味に傷つく」
リンは真顔で「ふぅ」と傷ついたようには思えないため息を吐いた。
「バカ共よく見ろ」
ゾロの声に一同は湖を見る。
「服が溶けるかは知らねェが…触れりゃアウトかもな…!!湖に落ちた液体で魚達が死んでいく」
その光景を目のあたりにして驚きの声が上がらないほど驚いた。
「まるで毒素の塊だアレは…!!」
ゾロの言葉に、リンはサンジの方をみて言う。
「毒だったらやばいね、潜るって言ってたけど大丈夫?」
「まずい…!!放っときゃここは毒の湖に…!!」
ブルックがサンジに本当に行くのかと言っている声が聞こえた。リンは意識を集中させ、周りのスライムを風圧で近づけないようにしていた。
「…… 」
ゾロはリンの様子が変わったことに気づき、何をしているのかも察して、口角を少し上げた。
どれ位経っただろうか。ブルックとゾロもスライムを寄せ付けないよう努力はしているが手を拱いている様だった。
リンは尚も風を操りスライムを寄せ付けていなかった。
その時、突然侍が苦しみだし、湖を見ると一面毒の色に染まりつつあった。
「サンジさん!!急いで」
ブルックが言った数秒後、ザバァッ!!!!と飛び出してきたナミの体のサンジの手には、しっかりと胴体があった。
「サンジさんっ!!!」
「おお、持ってんじゃねェか」
「本当に……!!!」
「良かった」
リンは侍が元に戻る様子を見届けつつも、スライムを寄せ付けなかった。