ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第17章 繋風
そして、軍艦は逆さまに。
「ったく!!!何事だよ!!」
めんどくさくなって、リンは構えた。
「風を武装してって、サクの意味わからない発言で生まれた技…使ってみよう…」
武装色の覇気を纏った風を生み出した。
「鉄風、春一番!」
ゴオオオッ!!と凄まじい音を立てて軍艦を突き破る。
パッカーンと真っ二つになった瞬間に脱出した。
「ふぅー…って…………あれ?」
下を見ると、見覚えのある葉巻をくわえた海兵と、見覚えのあるというか頭に焼き付いて離れなかったその人の姿が、目に入った。
「ええーーーーーーー!!!?!?!?!」
「「「「いやそれこっちのセリフー!!!」」」」
海軍のツッコミを食らい、とりあえず下に降りた。
「スモーカーにはまたすぐ会うような気がしてたけどまさかこんなに早く会うとは」
「俺も同感だな」
「ていうか、私タイミング完全に間違えた…」
落胆するリンに、ローが笑った。
「お前らしい」
「!…感動もクソもなくてごめんね!また後でゆっくり話がしたい」
「俺もだ」
「リン、知り合いなのか」
「スモーカーには、ちゃんと後でいうね!じゃ、お邪魔しました~」
ヒュッと風邪になって消えたリン。
「まさかリンとも知り合いだったとはな」
「それはこっちのセリフだ…」
睨み合う両者。スモーカーの部下がわめく。
「一旦退こうぜ中将!!コイツの能力気味悪すぎる!!」
「くそォ!!船がなきゃ基地にも帰れねェ!!」
「七武海は政府の直属!!お前おれ達に攻撃すんのは協定違反だぞ!!トラファルガー!!本部にチクってやるぜ!!!」
「称号剥奪だァ!!!」
ローはスッと剣を構えた。
「心配無用…」
その頃、建物の中に入ったリンは、壁にもたれ掛かり、穴の空いている心臓の部分に手を当てていた。
「やっと…」
やっと会えた。その嬉しさが溢れてきそうで、リンは必死にこらえた。
しかし口元は緩んでしまう。
「…ふふっ、ふふふっ」
至るところで戦闘がされているというのに、1人だけお花畑が頭の中にあったリンだった。