ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第16章 幻風
「よし!エプロンはあえてシンプルなものにしましょう!」
「…どうでもいい」
1人で楽しそうなサクを呆れた目で見ながら言った。
「あ、ここに住んでもらうので、後で部屋を案内しますね」
ニコリと笑うサク。部屋を貸してくれることは確かにありがたかった。
「さてと。店じまいしよ」
「Σもう?!」
「うん。今日はもうね」
店の外にある看板をcloseと書かれた面にしてドアの前においた。
「よし!ではお部屋に行きましょう」
頷いて席を立った。
カウンターの中に入りカーテンが閉めてあるその奥は階段だった。それを上り2階まで行くと、生活空間があることが伺えた。木のぬくもりが感じられるような造りだとリンは思った。
廊下を少し進んだところに鮮やかな黄色の扉があった。
「ここが貴方の部屋になります。お風呂も中についてるから好きに使って下さいね。あ、あと開店は10時になるからそれまでに下に降りてきてくれたら大丈夫で~す」
にこにこと説明をするサクにリンは質問をする。
「外出は?」
するとサクは少し真面目な顔になる。
「外出の際は必ず私に声をかけてください。生活に必要なものは基本的に揃えてあるので、どうしても、という場合だけにしていただいたらありがたいです」
つまり外出はして欲しくないと言う事か。
リンは妙に思いつつも了承して部屋に入った。
入った瞬間なにか違和感を感じた。
「……似てる…なんて気のせいか…」
なんと、ローの部屋、船長室に似ていたのだ。
「…?!」
しかもベッドの上にはシロクマの可愛らしいぬいぐるみが置いてある。
「…」
サクの胡散臭い笑顔が頭に浮かぶが、まぁいいか、と、シャワーを浴びてそのままベッドに入った。
「お久しぶりですね」
胡散臭い笑顔のカフェ店主はある人物と向き合っていた。
「…相変わらず胡散臭ェな」
「やっぱり似ているんですかねお2人は」
ニコニコと首をかしげるサク。
その目の前にいる人物は眉を寄せる。
「おれがアイツを探しに行こうとした時に立ち寄った、お前と出会った島が嘘のように消えたが、お前は何者なんだ」
身構えられ、サクは苦笑する。
「私の身についてはあの時納得してくれてたのに」
サクはニコニコとしながら、刀を構えるローを見た。