ありきたりな設定とイケメンのちょっと普通じゃない話
第15章 暁風
ロビンが革命軍の方へ戻っていった直後、サボが入れ替わるようにして部屋に入ってきた。
「無理はすんなって言ったはずだが」
「それは素直に謝る。心配かけてごめん。でも心配してくれてありがとう。ほんとに嬉しかった」
リンはサボの目をしっかり見て言った。
ハァ、とため息をついて困ったようにサボは笑う。
「危なっかしくてほっとけねぇ妹みたいだなお前」
「危なっかしくて…ほっとけない…」
そのワードに不満を持ったがまぁよしとする。
「私は明日この島を出る。知り合って数日しか経ってないのに色々とありがとう」
「そんなの気にすんな!おれはお前が気に入った!」
二カッと笑うサボにリンもつられて笑顔になった。
サボも革命軍の方へ戻り、部屋は静かになる。
リンはベッドの側においてある机に置かれた帽子を風を使って自分の手元に持ってきた。そして内側に作ったポッケに入れておいた手配書を出して眺める。
「…すぐに飛んでいきたいけど、少し寄り道させてね」
リンは2度も命を助けてくれた恩人の元へ挨拶に行こうと考えていた。
帽子の内側に作ったポッケに入れておいたのはローの手配書だけではない。スモーカーを通じて渡された白い紙が入っていた。
彼の居場所を示す紙、ビブルカード。
手のひらに乗せれば、ズズッと彼がいる方向に少し動く。
「シャンクス、成長したなって褒めてくれるかなぁ」
恩人に会うためにも体力の回復をしなければと、リンは眠りについた。
夕方、またスモーカーがやって来た。しかし見舞う対象は熟睡していた。
「…」
静かにベッドの側においてある椅子に座る。
もちろん葉巻は吸っていない。
スモーカーはリンの寝顔を見つめた。
規則正しい寝息が聞こえ、ゆっくりと胸が上下している。
(ガキの頃と変わらねぇな…)
無意識に頬がほころぶスモーカー。
リンはスモーカーの背中や腕の中でよく寝た。安心しきっている証拠だといろいろな人から言われていた。
「リン、起きろ」
「ん〜…や…」
「!?」
スモーカーは驚いた。子供の頃と同じように起床を拒否したからだ。それだけでは無い。子供の頃と違い、声が色っぽかったからだ。
スモーカーは自分を落ち着かせるために数分黙っていた。